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Posted by あしたさぬき.JP at

炭谷の伝統

2010年09月06日


塩江町、内場ダムからさらに山道を登っていく。
民家も人気もほとんどなく、細い山道の両側には夏の草木が茂っている。
何度か通った道。のはずだが、ちょっと不安になる。

ようやく見慣れた小屋が目に入り、その向こうに民家が1件。
藤川さんご夫婦が相変わらず優しい笑顔で迎えてくれる。

藤川さんはもうすぐ80歳。今はご夫婦二人だけで仲良く暮らしている。
昔は1丁以上の広さの畑と棚田の水田まであった。
「農業は子供のころからずっとここでしょったで。家族が多かったけんな。兄弟は6人おって、両親と一緒にみんなでしよった。そやから広くてもできたんや。」
昔畑があったという家の周りは、ほとんど高い木で覆い尽くされている。
畑があったという場所も、草木で面影はない。

そういえば夏の初めに藤川さんから電話があった。
「ちょっと大きくなっとった小松菜や大根菜が猪に全部やられてしもうたんや。また植え直しや。ちょっとまってな。」
畑の作業の合間に、一生懸命に作ったトタンの防護柵。
少し外れたところから入ってきたらしい。
「15年前までは猪はおらんかった。そやからもっと野菜が作りやすかったんやけどな。」
そんな話も、自然のすべてを受け入れているかのように穏やかに話す。

畑は、滑り落ちそうになるほどの急斜面。
少し前のきまぐれな豪雨で急斜面の段々畑は土が流れ、
少し大きくなりつつあった小松菜もすべて土に埋まってしまった。
「こないだ埋まったんがここや。次の植えてちょっと芽が出てきたとこや。」
と愛おしそうに小松菜の芽を見せてくれる。

その上を見ると赤いピーマンが並んでいる。
「すぐに赤うなってしまう。赤うなったピーマンはちぎらんと次の実ができんのやけど、追いつかん。」
「赤いピーマンはどうするんですか?」
「ちぎって捨てるしかない。」
そんなやり取りをしながら赤く熟したピーマンを食べると...
甘いっ!これフルーツ? と驚く美味しさ。
パプリカ顔負けの甘さに惚れこみハート
かご2杯収穫しました。
それでも全然採りきれない。
藤川さんご夫婦二人で毎日この作業。厳しいなぁ。

畑にはようやくほんの少し芽を出した『蕎麦』と
200年の伝統の『炭谷ごぼう』が青々とした葉を茂らせている。
作り手が減り、今や幻といえる希少な炭谷ごぼう。
生命力のあるしっかりとした太さ、その柔らかい食感と香り。
毎年冬が近づくと恋しくなる。

天候に恵まれて、たくさん収穫できますように。

y.tsukuni









  


Posted by suijin at 10:10Comments(0)生産者紹介